る.第2図aに 示したと同1例 で,振 顫が患側にあ る時期のh波 の変化を誘発筋電図によつて示すと第 2図bの 如くである.これでみても,患側に振顫の ある時期に,振 顫のない健側のh波 の振巾が著明に 変化していることがわかる. 第Ⅳ部 筋電図 第12章 骨格筋の解 … 誘発筋電図について. ① 針筋電図の場合は、筋肉内に針電極を刺入し、痛みを伴うので、十分な説明を行い、不安を抱かせないようにする。; ② 誘発筋電図では、電気刺激により不快を感じるので、同様に十分な説明を行い、不安を抱かせないようにする。 図20 心室細動(vf) 特徴. 誘発筋電図の代表的なものとしてh波、m波、f波があります。. 図1a~dは それぞれ後根切断後の坐骨神経刺激 (sl),前根刺激(s2),後 根刺激(sa),前 ・後根無傷の. 心房から心室まで、正常よりも速く刺激が伝わる副伝導路の存在によって発生する。PP(RR)間隔が長くなっている。心拍数は60 回/分以下(目盛で25mm以上)Ⅰ誘導で狭いRと幅の広いS、V1〜2で二相性のQRS波(rsR′)と陰性T波がみられる。心房・房室接合部から刺激が発生したために、通常の心拍よりも早く心拍が生じたもの。心疾患、薬物中毒(ジギタリスなど)、甲状腺機能亢進症など。心房から心室に刺激(興奮)が全く伝わらなくなり、心房と心室がそれぞれの固有リズムで興奮している状態。リウマチ熱、心筋炎などの心疾患。右脚の伝導がブロックされているため、右室の興奮が左室から回ってくる刺激によって起こる。そのため、左室の興奮から遅れて右室の興奮が始まる。心房中隔欠損症や慢性肺疾患などで右房血流量が増加することにより右房が肥大したため。アンケートや座談会・取材にご協力いただける看護師さん、大募集中です!P波がない。基線には大きさ・間隔不同な小さな波(f波)がみられる。RR間隔は不規則。P波のない形の異常に幅の広いQRS波が早期に出現している。T波はQRS波と逆方向を向いている。心房が急速に規則正しく興奮を起こし、心室がこれに対して規則正しく一定間隔で応じている状態。心疾患、甲状腺機能亢進症など。心房が絶えずどこかで興奮を起こしている状態。心疾患、甲状腺機能亢進症など。興奮伝導時間がしだいに増大し、ついに伝わらなくなった状態。機能性で健常者にみられることもある。心室から刺激が発生して通常よりも早く心拍が生じたもの。心疾患、薬物中毒(ジギタリスなど)、甲状腺機能亢進症など。PQ間隔がしだいに長くなり、ついにはP波のみになり、それに対応するQRS波が出現しない(脱落)。PP(RR)間隔が短くなっている。心拍数は100 回/分以上(目盛で15mm以下)。死亡直前の心電図。心室が不規則にけいれんを起こしているような状態で、心臓機能は果たしていない。Ⅰ・aVL・V5〜6誘導でq波がなく、QRS波は二峰性のM型となり、陰性T波がみられる。V5〜6誘導で幅の広いQRS波。P波、QRS波、T波が消失し、形の異なった不規則な波形がみられる。房室結節、ヒス束の異常により、心房・心室間の伝導が障害されている状態。冠動脈疾患、心筋梗塞、リウマチ熱、ジフテリアなど。PP間隔、RR間隔は一定。P波とQRS波は無関係に存在し、PR間隔は不定。左脚の伝導がブロックされるため、左室の興奮は右室から伝わる刺激によって起こり、右室の興奮に続いて左室の興奮が起こる。 要旨:国 際臨床神経学会による臨床神経生理検査のガイドラインのなかから,誘発筋電図(f波,h波)に 関す る項目を紹介した。誘発筋電図検査の検査条件,検査方法,筋電図波形分析に関する詳細とそれらの意味づ けを把握することが大切であると言える。 末梢神経に電気刺激を加え、その刺激により誘発される活動電位を捉えたものを誘発筋電図といいます。. 実験結果 1.ラ ットglmの 誘発筋電図(m波 およびh波) (1)h波 の潜時と神経一筋伝導・伝達時間
筋電図は、筋線維から発生した個々の活動電位が容積伝導により電極に到達した時点の活動電位を加算(複合活動電位)し、図として表現したものです。 したがって、筋電図は筋力と同等ではなく、筋が収縮し筋力を発揮しているときに筋活動電位がどの程度、そしてどのように発生したか、すなわち運動単位の参加度合いを表現していることとなります(図1)。Copyright © SAKAI Medical Co.,Ltd. こんな風に測定 … 第7章 f波とA波 第8章 顔面神経の伝導検査と瞬目反射 第9章 H,t,咬筋反射と休止期 第10章 末梢神経のその他の評価法 第11章 神経伝導検査における真実と誤謬と思い込み. 誘発筋電図の大きさをグラフに示すと図7.のようになる(刺激反応曲線)。 図7.刺激強度と誘発筋電図の大きさの関係。5の点線は仮に衝突(本文参照)が生じ なかった場合のh波の想定の大きさを示す。 図7.と図8.とを参照に以下の説明を読んでほしい。 場合の坐骨神経刺激(s、)に ょるgmnお よびgl皿 の記録である. All Right Reserved.周波数解析により筋疲労や筋線維タイプの変化、老化などを評価できることがメリットとなります。これらの各種解析については次回掲載の「表面筋電図の計測と解析」で詳しくお話しします。いわゆる筋力は、運動単位の参加と筋横断面積、関節角度、運動速度などにより変化します。筋電図は運動単位の機能を評価しているため筋のコンディションにより、同じ筋力が発揮されているとしても変化します(図4)。さらに複数の筋による活動関係も筋電図の得意とする評価です。筋力の増減に伴い筋電図は横軸(時間軸)も変化すると述べました。この横軸の変化は周波数によっても評価することができます。筋電図はさまざまな周波数を持つ波の複合波形のため、周波数解析により、どの周波数の波が存在するか判定することが可能です(図6)。 筋電図に関わる検査のポイント 検査時の留意点.
図21 房室ブロックⅠ度 特徴 くとa波 、b波 、律動様小波といった主成分は. 7 2.誘発筋電図によるM波・H波の観察 a. 死亡直前の心電図。心室が不規則にけいれんを起こしているような状態で、心臓機能は果たしていない。 房室ブロックⅠ度. M波振幅は1Hz刺激の最初のM波で測定する。正常では四肢筋で5~20mVであり顔面筋では0.5~2.0mVである。 erg波 形の各波を検討すれば, 網膜の状態をある 程度推測することが可能である. 通常はa波, b 波, 律動様小波についての観察が主体となり, 定 図1 erg波 形とそのパラメータ 図2 erg構 成波(文献1)から引用) (26) 波の波長の半分、波が上昇してから基線に戻るまでの時間のこと。これが伸びると『時間的分散』と言い、伝導ブロックという異常所見を疑います。詳しくは今度。 感覚神経snapも波となりますが、cmapよりも下に行く波が小さい特徴があります。 目的 ヒトの末梢神経(混合神経)を単一の矩形波で電気刺激すると、ある筋では2度収縮し、潜時の短いも p波、qrs波、t波が消失し、形の異なった不規則な波形がみられる。 原因. 末梢神経障害(ニューロパチー)の分類には障害部位別分類、病理組織学的分類、外傷性損傷の分類、障害パターン別分類、原因による分類が知られている。反復誘発筋電図ではM波振幅、漸減現象、漸増現象、反復刺激後増強・疲労または賦活後増強・疲労の測定を評価する。探査電極(G1)を正確に筋終板上に配置し、基準電極を腱上に配置すれば陰性に始まる二相性の複合電位が記録される。筋活動電位が探査電極から離れた場所で始まり、容積伝導を通じて記録部位に近づいてくるときは陽性の電位が先立って導出される。この場合は潜時や振幅が正確に測定できないため探査電極の位置を変更する必要がある。しかし神経変則支配のため、離れた筋の誘発電位が混入する場合や筋萎縮が著しく、CMAP振幅が小さい場合は是正ができないこともある。筋力が著しく弱いのにCMAP振幅が正常な場合は、中枢神経疾患(脳血管障害、脊髄障害、多発性硬化症、ヒステリーなどの心因性)、あるいは刺激部位より近位の伝導ブロックの存在を考える。後者の場合は腱反射、近位部刺激、F波検査などが鑑別に役に立つ。重症筋無力症ならば反復刺激でCMAPの低下が得られる。また筋疾患は前述の通り進行すればCMAPの低下が認められる。運動神経軸索の数が減少するため出現しない場合、軸索の数は十分に保たれているが、脱髄が存在するため途中で伝導ブロックが生じF波が出現しない場合、前角脊髄ニューロンで逆行性興奮過程の障害がある場合の3つの可能性がある。運動神経軸索が減少した場合は、運動単位の減少により波形の単純化や神経再支配によるF波高振幅が認められることがある。運動神経伝導速度測定法に準じる。しかし頻回刺激を行うため、筋長の変化によるアーチファクトを防ぐため固定することが必要である。尺骨神経刺激で小指外転筋記録を行う場合が多い。持続0.1~0.2msの最大上刺激で行う。1Hzで5s間で装置のセッティングを含め検査前の状態を確認する。3Hz、5Hz、10Hz、20Hzで各々5s間順次刺激を行う。50Hz、3s間で強縮負荷を加え、直後に3Hzを5s間加え、反復刺激後増強(PTP)を調べる。強縮負荷2min後、3Hzを5s間加え反復刺激後疲労を調べる。最後に1Hzで5s間で検査後の状態を確認するといったプロトコールが知られている。各刺激の間は十分に休息をおく。神経伝導速度検査では通常太い神経線維についての情報しか得られてない。神経根部に限局した節性脱髄がある場合は遠位の伝導機能が正常となることがある。臨床症状を呈しているニューロパチーでも、太い有髄線維数の減少の程度が不十分な場合は、活動電位の振幅や伝導速度に異常が見いだせないことがあること。節性脱髄と軸索変性の混合型ニューロパチーでは節性脱髄の影響が強く、軸索変性はマスクされる傾向があることに留意が必要である。伝導ブロックとは神経線維のある特定部位を超えて、インパルスが伝導しないが、その部位以後の分節の伝導は障害されない状態をいう。伝導ブロックは節性脱髄を示唆する。伝導ブロックは近位刺激のM波(Mp)と遠位刺激のM波(Md)のパラメータの差としてあらわれる。完全伝導ブロックではMpが誘発されずMdが正常である。不完全伝導ブロックには2つのタイプがある。1つはMpがMdに比べて低振幅であり両者が相似形をなす場合である。もう1つはMpがMdに比べ低振幅であるがMpの持続の延長や波形の多相化、すなわち時間的分散の増大が認められる場合がある。この場合、振幅の低下が時間的分散の増大によるものではないことを示す必要がある。このような場合も含め、MpとMdの頂点間振幅の差、より正確には陰性部分の面積の差が30%を超える場合は伝導ブロックありと判定するという方法が提唱されている。また伝導ブロックが生じている病変を決定するため1cm毎に刺激を行うインチング法という方法も知られている。正常では同一波形で潜時が0.2ms/cmずつ直線的に変化する反応が得られる。細胞体または軸索の疾病に由来する軸索の変性、崩壊を示す。軸索変性は大径有髄線維の遠位部にまずあらわれ、近位部に向かって進行する。この進行過程をdying backという。軸索が変性すると二次的に髄鞘も変性する。A波は通常M波とF波の中間潜時に位置する電位であり、神経近位部に軸索側枝が分枝している場合に認められる。常に波形は一定でありF波のような変動は認められない。また近位部の刺激では認められない。軸索再生と関連すると考えられておりニューロパチーでは高率に認められる。慢性の脱髄性疾患や遺伝性脱髄疾患では極端な伝導遅延や時間的分散の増大が認められるにも関わらず筋力低下が認められないことがある。脱髄による脱力は伝導ブロックか二次的な軸索変性がなければ生じないと考えられている。逆に筋力低下を伴わない伝導ブロックは存在しない。筋収縮が10ms程遅れることは筋力の維持には影響しないと考えられている。紋扼性、外傷性、膠原病性、中毒性、代謝性、感染性、腫瘍性、遺伝性といった分類もされる。NCVは下肢では上肢より遅い。温度差と神経の長さによるとされている。F波やH波よりも潜時が遅い長経路反射である。健常人では抑制機構のため認められないが大脳皮質の興奮性が高まった病態、進行性ミオクローヌスてんかんなどで認められることがある。病理組織学的分類では神経病理検査の所見に対応させ、軸索変性を主とする軸索障害、節性脱髄を主とする髄鞘障害、間質の血管炎や蓄積物質による間質障害に分類される。虚血によっても伝導速度は遅延する。10分程度の虚血では伝導時間に変化はなく、25分の虚血で30%増、30分で完全ブロックにいたる。随意収縮でモニターモードで筋活動電位が記録できるか確認する。記録できない場合は、記録電極の配置の誤り、電極ワイヤーの破損、プリアンプへの接続不良、フィルター周波数帯域の誤りなどが考えられる。電極ワイヤーの破損などはインピーダンスチェックで判明することがある。また基準電極(G2)が筋上にあり探査電極(G1)に匹敵する位の大きな電位を拾っている場合は電位差が小さくなる。ペーストの塗りすぎや発汗のため電極間がショートしている場合も同様に小さくなる。50Hz、5sの反復刺激または強縮直後の3Hz刺激で重症筋無力症では強縮負荷前に認められた漸減現象は消失し、ランバート・イートン筋無力症候群ではM波振幅がち著明に増大する。この所見を反復刺激後増強、賦活後増強といい、3Hzとp3HzのM5/M1の比較などで判定する。さらに負荷2min後の3Hz刺激で負荷前より重症筋無力症では漸減率が大きくなっている場合、ランバート・イートン筋無力症候群でM波振幅が小さくなっている場合、反復刺激後疲労陽性ないし賦活後疲労陽性と判定する。運動神経伝導速度検査の対象となる末梢神経には線維直径の異なる多数の神経線維が含まれている。したがって太い線維と細い線維とでは潜時、伝導速度に差がある。この差は近位刺激になるとより大きくなる。このような伝導時間のばらつきを時間的分散という。通常は時間的分散はほとんど目立たずマスクされるが伝導遅延をきたす節性脱髄、再生神経線維や再生髄鞘を伴う病的状態では増大し、顕著になる。時間的分散の増大は持続の延長としてあらわれるが、同時に筋活動の同期性が悪くなり、波形の多相化、陰性頂点の増加としてあらわれる。振幅の低下は随伴所見とみなされる。加齢に伴い生理的な髄鞘の変性が認められ、伝導速度は軽度の低下が認められる。神経伝導速度の変化は80歳代でも10m/s程度と軽度である。時間的分散も増大するためSNAPの振幅も低下する。腓腹神経では特にその影響が大きく、老人では若年者の半分ほどのSNAP振幅になることもある。筋肉長が短くなると筋線維での伝導速度が増加するためCMAP振幅は増大し、持続時間は短くなる傾向がある。この場合は面積は振幅に比べて変化が小さい。高頻度反復刺激などを行った場合に、しばしば見かけの漸増現象が認められるが、筋長の変化が原因である。多発ニューロパチー、単ニューロパチー、多発単ニューロパチーなど障害パターンによる分類もされる。正常値は検査室の条件によって異なるため、各施設ごとに作成することが望ましいとされている。伝導距離が1cm延びると潜時は約0.2ms延長するとの報告もあるが、±1cm程度の変動は測定値に大した影響は与えないとされている。四肢筋の脱力は近位筋に強く見られることがおおく、非対称であることもある。筋力が低下しても腱反射は保たれる。通常の神経刺激でCMAPの振幅は保たれている。しかし低頻度(2~3Hz)反復刺激を行うと減衰反応を示す。神経線維の興奮伝導には、神経線維の一部を刺激すると興奮は両方向性の伝導する(両方向性伝導)、1本の神経線維を興奮が伝導していくとき、興奮は隣の線維に伝わらない(絶縁性伝導)、神経線維の長径が一定ならば興奮の大きさ、または伝導速度は伝導中変化しない(不減衰伝導)といった特徴が認められる。有髄神経の線維の長径と興奮の伝導速度の間には、直線的正比例関係がみられ、大体長径(0.6μm)を6倍すると伝導速度(m/s)が得られる。また髄鞘の厚さも伝導速度に関係し、伝導効率はg-ratioが0.6~0.7の場合が最大で髄鞘が薄くなり0.8~1に近づくと急速に低下する。神経筋接合部疾患の電気生理学的検査である。1895年Jollyらにはじまり漸減応答など重要な知見がもたらされたが、当時の技術では信頼性が乏しく臨床応用はされなかった。1941年harveyとMaslandが現在のように最大上刺激刺激で誘発される筋電位を用いて検査を行った。ランバート・イートン筋無力症候群では反射は消失または低下し、口渇やインポテンスなど自律神経障害を認める。通常の神経刺激でCMAPの振幅は低値で低頻度(2~3Hz)反復刺激を行うと重症筋無力症様の減衰反応を示す。50Hzの反復刺激や短時間の筋収縮直後に刺激を行うとCMAPの増大を認める。正常者の運動神経伝導検査ではCMAPの振幅や形は刺激部位によってあまり大きな変化はないが感覚神経伝導速度検査では刺激部位が記録部位より遠ざかるに従って電位振幅が小さく、持続が長くなる。これは神経束が全て同じ伝導速度ではないことに起因する。筋線維は神経線維に比べて伝導速度が10倍遅いため活動電位の持続が長くなり陰性相の持続もながくなる。このためCMAPでは位相の相殺の影響は軽微である。しかし節性脱髄などが起こり時間的分散が大きくなるとSNAPのように振幅の減衰が認められるようになる。SNAP測定では振幅の減衰がスムーズであれば位相の相殺で説明可能と考えられる。突然大きくずれるときは何らかの伝導路障害を疑う。運動神経の障害別分類には前角細胞、前根、神経叢、末梢神経、神経終末枝といった分類が知られている。また感覚神経では髄内部、後根、後根神経節、神経叢、末梢神経、神経終末枝で分類されることがある。神経伝導速度検査の再現性は平均すると、伝導速度は10%程度、振幅は30%程度変動する。F波最短潜時は5%程度変動するとされている。特に振幅の変化は大きいため評価には注意が必要である。神経再支配による運動単位電位の増大、前角ニューロンの逆行性発火確率の上昇の可能性がある。前者は末梢神経障害、後者は痙性対麻痺などで認められる。NCVは近位部より遠位部の方が遅い。それは遠位部の方が温度が低い、絞扼間距離が短い、軸索直径が細くなっていることによるとされている。F波は運動神経の刺激により軸索を逆行したインパルスが脊髄前角運動ニューロンを興奮させ生じる電位でありシナプスを介さない現象とされている。潜時はH波に似るが刺激閾値はH波がM波よりも低いのに対して、F波の閾値はM波の閾値よりも高いことが特徴とされている。F波はM波に比べて振幅が小さくM波の5%程度である。M波が支配下全ての運動単位の参加した現象であるがF波はその数%のみが参加した反応だからである。波形は運動単位電位がばらついて数個重なるものである。出現頻度、最小潜時、振幅、F波伝導速度などがパラメータとして用いられる。皮膚温、身長の影響を受けるが出現率は脛骨神経、尺骨神経で100%、正中神経で70%程度であり、最小潜時が170cmで皮膚温が正常ならば上肢では29ms、下肢では51msを超えると延長していると考えられる。MCV、TL、M波波形が正常でF波が誘発されない場合は近位部の脱髄を示している可能性がある。FCVの遅延、F波出現頻度の低下ないし消失、F波の時間的分散の増大などが近位部脱髄を示唆する所見である。筋萎縮性側索硬化症などで同じ波形のF波が出現し反復F波(repeator F wave)と言われる。脊髄の特定のニューロンが過興奮による場合と出現が不安定なA波の可能性を考慮する。反復性F波ではA波と異なり他の構成成分は異なっている。